体が動く認知症家族の活発な行動とループ
体が元気な認知症家族の行動に介護する家族はついて行けない
驚きから怒りへの移り変わり
身体機能が比較的維持されているのに認知症の症状が進行して日常の行動に変化が著明となってくると思いがけない行動をする事が増えてきます。
初めのうちは驚くことが先行して状況を受け入れるのに精一杯となりますが、徐々に慣れてくると「言うことを聞いてくれない」や、「他のことに手を回せない」などのストレスや怒りを抱えやすくなります。
特に生活のリズムを狂わされたり直前の行動が無駄にされたりした時には「頭では分かっているけど心では我慢ならない」状態です。(私も祖母の介護で体験してますが通いの分比較的軽く済んでます。祖母と同居の母は実母のこのような状況に毎日怒りまくって高血圧酷いです)
介護者にとっては繰り返しの出来事も認知症家族にとっては「新たな体験」の大きな差
認知症と物忘れの大きな違いとして言われている、
「物忘れは内容を忘れるが認知症では体験そのものを忘れる」
症状や進行状況によって個人差は大変大きく違いますが、”直前に起こったこと”もしくは”最近体験したこと”は殆どの認知症の方に見受けられます。
昔コントで見た事の有る方もいるかと思いますが「婆さんよ~飯はまだかいの~」などは当時知らなくて笑っていても当事者となると複雑な気分です。
私達介護する側にとっては「またやっている。さっきも注意したばかりなのに!!!」という行動も、認知症のご本人にとっては「今思い立って始めた行動」になっています。
これらの認識の違いは頭で分かっていても上手く気持ちを切り替えられるものではありません。同じ事を繰り返す回数が増える程、一緒に過ごす時間が長くなる程に感情と理性の差は開きやすくなります。
家族だから「あるがままを受け入れる」というのは乱暴な諭し方
一般に、というよりも認知症の方への接し方の”常識”として、
- 怒らない
- 大きな声を出さない
- 否定しない
などがあります。実家で実母(私の祖母)を介護している母も訪問看護の担当者やケアマネさんから度々諭されています。しかし、
こちらにも書きましたが、「イライラ」などのストレスは「期待に反する行動や言動」に直面している時に強くなります。
長年一緒にいる家族が介護している場面では尚更です。
「怒らないこと」が最善ですが、怒ったことを後悔している介護する家族に”怒ってはいけない”という話しをただ繰り返すよりも「怒ってしまった後にどんなフォローをするか」をその家族に合った方法として探す方がより現実的です。
テレビに出ている有名人が「ある日急に何でも見守っていることが出来るようになった」と悟りを開いた状態になるのは希です。
怒られそうですが、実際の介護現場でも大きな声を出したり、否定的なニュアンスの言葉をかけている職員は残念ながら存在します。職員は交代制であったりその場で話してもシフトで数日関わらなかったりと回避することが出来ますが、家族で介護している場合は回避する時間も場所も限られています。その分気持ちのコントロールは難しいものになります。
「いつ何時でも無限に怒って良い」訳ではありませんが、
感情が爆発するほど溜め込まず、「イライラするのも仕方ない」と介護して大変だと自己を認める事も必要です。同じように介護を支援する施設や事業所の職員は、”気持ちのガス抜き”を促して「怒ったこと」を必要以上に責めないフォローが必要です。
※ いらすとや さんより借用
まとめ
認知症の方が繰り返す行動に対して介護する際に様々な注意点があり、怒ってはいけないことは正答で正論だと思います。
しかし、人間同士のやり取りで感情が入り込まない関係では信頼に足る関係の成立は困難で時には感情を表に出すことも必要です。
感情的になった後のお互いのフォローを行うことで、より信頼関係が深まることがあるかもしれません。
これからも認知症の方への介護を正解を急がず周囲に相談しながら、皆で探求し、お互いに辛くなりにくい介護が見つけられれば嬉しいですね。
以上、今回の”斜め”な目線の一案でした。
読んで下さった方の”気持ち”が少しでも「軽く」なっていただければ幸いです。
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