【シリーズ紹介】
この記事はシリーズ『介護職の専門性を“見える化”する』の第1回です。
→ 第1回:【営業力も必要?】伝わる介助と信頼を築く力とは
→ 第2回:【管理も仕事?】現場を支える“見えない力”
→ 第3回:【介護職=総合職?】多職種連携と成長力の本質
介護は「営業」である?──現場で生まれた異色の発想
「介護」と聞いて、あなたはどんなイメージを持ちますか?
温かい手、寄り添う心、献身的な姿勢……多くの人がそう答えるでしょう。
しかし私は、介護の現場で日々利用者様と向き合う中で、ある意外な発想にたどり着きました。
それは、「介護の仕事は、まるで商品の販売に似ているのではないか?」という考えです。
【補足】
ここでいう「営業」とは、押し売りではなく「ニーズ把握」「提案」「共感による信頼構築」などの対人スキル全般を意味します。
顧客の「本当のニーズ」を探る ~介護における状態確認の奥深さ~
ビジネスの世界では、良いサービスを提供するには「顧客のニーズを正確に把握する」ことが不可欠です。
介護職も同じ。最初にするのは、利用者様やご家族の状態確認です。
新人職員のつぶやき:
「状態確認って、ただ『調子どうですか?』って聞くだけじゃないんですね…!」
以下のように多角的に情報を集めます:
- 身体の状態:機能・疾患・痛みなど
- 生活環境:住まいの構造、家族構成
- 心理状態:気分、認知、感情面
- 希望・価値観:大切にしていること、望む暮らし方
【実践のヒント】
利用者の言葉や表情、行動、生活の様子を観察しながら「本当のニーズ」を探ります。
信頼を得る「共創的プレゼンテーション」~介助方法の説明と承諾~
最適な介助方法を選んだら、わかりやすく説明し、納得と承諾を得る必要があります。
たとえば:
- 「この介助は、〇〇という課題を解決します」
- 「これによって〇〇ができるようになります」
これは、ビジネスでいう「商品の提案」に似ています。
現場の声:
「“一緒に考える説明”という感覚なら、プレゼンも怖くないかも」
一方的に伝えるのではなく、「なぜ必要か」「何が変わるか」「他の選択肢は?」といった視点で説明することが信頼につながります。
新人介護職にこそ必要な「伝える力」
新人職員にとって、「説明力」はとても重要です。
介助の目的や効果を言葉で伝えられることで、利用者との信頼関係が築けるだけでなく、リハビリ職などとの連携もスムーズになります。
誠実に“提案”する介護職としての姿
介助の提案は、押し売りではありません。
むしろ、「自分で選び、納得して受け入れてもらう」ことが重要です。
私たちは、利用者様にとって最も適した「介助」という“商品”を、誠実に伝え、共に選ぶ「案内人」なのです。
【次回予告】
介護職のもうひとつの役割「マネジメント視点」について深掘りします。
【次回】
→ 第2回:【管理も仕事?】現場を支える“見えない力”
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